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前回に引き続き、INFJが保有する8つの心理機能が日常生活にどのような影響をもたらすのかに注目していきたいと思います!
Part. 2 「INFJの”影の”心理機能」
4つの「影の心理機能」は、Part1で紹介した心理機能と比較するとあまり性格に影響を及ぼさない存在であるといえます。それに、これら「影の心理機能」は、「自我親和的心理機能(優勢、補助、第三、劣等)」と比較すると、成熟しにくいとされています。
それどころか、これら「影の心理機能」を、私たちは時に”軽蔑”してしまう時があります。ある人物が「影の心理機能」として保有するものを、逆に「自我親和的心理機能」として保有している人物と遭遇した時には、意見の相違から相手を不当に低く評価してしまうことが起こりかねません。
しかし反対に、これら影の心理機能は「異なる特性を持つ相手から、不当に攻撃を受けた状況」において、「想像力を働かせ、相手の思考を理解する」ことを助け、間接的に私たちの立ち回りを「助ける」働きをすることがあります。また、「自我親和的心理機能」だけに依存した状態に陥ること、および「自我親和的心理機能」が暴走して制御不能になることを抑える働きもあります。
“相反する役目”の機能: 外向的直感(Ne)
「相反する役目」は、優勢機能が暴走することを防ぐ役割を果たし、影の心理機能におけるリーダー役を務めています。そしてこれは不信感を煽る要素でもあります。
INFJにとっての「相反する役目」は、「外向的直感: Ne」。これは可能性を探求したり、一見何も繋がりがないようなものを組み合わせて新しいものを作ってみたり、未解明のパターンを発見することに興奮を覚えるものです。
Neは、INFJの優勢機能でありNiにとても似ているものの、Neは「外的世界を散策して情報を集め、新たに集めた情報を組み合わせて閃きを得る」という特性があるため、「先に答えがある状態で内的世界を参照し、新たな道筋を見つけようとする」Niとは食い違うことが度々起こるでしょう。
High-NeユーザーであるENxPとINxPは、Neによって「直感的な情報収集」を楽しみ、「突発的な閃き」を生み出し、そして常に「新しい情報を追い求める」という傾向を持っています。一つのものに執着することはHigh-Neユーザーには退屈なことであり、答えありきで行動することはHigh-Neユーザーにとっては軽蔑すべきものです。
反対にHigh-NiユーザーであるINFJは、High-Neユーザーに対して「飽きっぽくて中途半端」だと感じますし、「その時々で意見が変わって、信用できない」と不信感を覚えます。
しかし、この「Ne」がINFJを圧倒する瞬間があります。それは長期間に渡って一つのプロジェクトに拘束された時。このような状況下ではNeによって退屈感を覚えたり、気が散るといった状態が発生します。また、Neが「こんな単調で退屈なことをずっと続けて、何が楽しいの?」「ずーっと状況に進展はないのに、いつまで同じやり方を続けるの? そろそろB案を検討してみるべきじゃない?」と別の道を示してくることもあります。
外向的直感はどんな働きをするのか?
- INFJは、Neの囁きを「目的から気を逸らさせようとしている、悪魔の囁き」と認識しがちです。たしかに、NeはNiが提示する「正しいと”信じている”答え」を真っ向から否定し、他の選択肢を複数提示することがあります。――しかし、考えてもみてください。一つの答えを盲目的に信じることは、危険ではありませんか? 選択肢は複数あった方が有利ではありませんか?
- Neによって「同族嫌悪」が発生し、自分と同じような特徴を持つ人物(一つの答えに執着するタイプ、アイディアを共有しないタイプ、一人で何でも抱え込んでしまうタイプ)を遠ざけようとすることがあります。
- Neは、INFJが現在集中している一つのプロジェクトに対して「ケチをつける声」として顕現することがあります。
- Neが成熟した場合には、Niが提供する洞察・予測とNeの提供する代案・可能性をうまく対比し、複数の展開を予測することができるようになります。
“否定的な親”の機能: 内向的感情(Fi)
「否定的な親」は、ポジティブにもネガティブにも転びます。このスタックに収まる心理機能は、INFJにとっては「内向的感情: Fi」。いうまでもありませんが、INFJはFiを活用するよりもFeを活用した方が「居心地がいい」と感じます。自分の意思や感情を優先して動く(=Fi)よりも、他者の機嫌を伺った波風を立てない行動(=Fe)のほうが好ましいのです。
また、Feは奉仕に対して他者から”感謝”のようなフィードバックを求めますが、Fiはそのような「他者に依存する評価軸」を必要としません。自分が正しいと思うか、自分が今それをやりたいのか……といった「自分」が軸となるのがFiだからです。Fiにとって他者の声は「外野のノイズ」でしかなく、時にそれらは取るに足らない存在に成り下がる瞬間も存在します。
INFJの中で果たすFiの役割は「批判的な声」です。自分の下した選択、決断を時に「なんて信念のない行動なんだ!」と批判したり、他者のモラルを欠いた行動を責めて怒りを買ったりと、INFJをあたかも「弱らせようと働く」ことが少なくありません。
ただし、これはFiの長所を認識していない状態で起こることです。Fiの訴える「自分の信念に背くことをしない」という欲求を適切に処理することが出来るようになれば、Feの暴走による「他者へ過剰に同調することによって起こる弊害(みんなもやっているから……とモラルを欠いた行動をするようになる等)」を防ぐことが出来るようになります。
内向的感情はどんな働きをするのか?
- INFJは「自分の意見や価値観とは異なるものを持っている相手」に対して、受動攻撃的な態度を取ることがあります(例えば「ヴィーガンであるINFJが、肉食を好む人々を小馬鹿にする」など)。
- 過去の過ちを思い出して、過剰に自分自身を責め立てる機会が偶にやってくることがあります(後述のSiとセットで、INFJを苦しめてくるでしょう)。
- High-Fiユーザー(IxFPなど)に憧れを抱く半面、彼らから責められたり批判されたりすると、「自分を軽視された!」と怒りを感じたりするでしょう。
- 非常に厳格な行動規範を自分自身に課し、それを破った時には自分自身を厳しく罰したり、責めたりすることが発生するかもしれません。
“トリックスター”の機能: 外向的思考(Te)
「トリックスター」は、精神の防衛役を務める心理機能です。そしてINFJの「トリックスター」である「外向的思考: Te」は、主に悪戯をたくらむ声として現れ、INFJを「みんなに合わせてルールに従う? それとも我を貫いてルールを破る?」のような二重の鎖で縛りつけたり、自分の意思に反する行いをするようにと積極的に促すようなことを囁いてきます。
またINFJは、Teを自我親和的心理機能として保有するタイプを嫌う傾向にあるとされています。これはトリックスターに位置する心理機能の役割を、人は「最も軽蔑する」からです。
そんなTeですが、これは合理化・効率化を図るもので、自分の周囲にある世界を整理・管理し、組織化ないしシステム化するという役割を果たします。そしてこれまでの経験や過去の実例を参照し、現実的なプランを考案し、運用していくことを得意としています。簡単にいうと、Teとは「コストカッター」なのです。
High-Teユーザー(xxTJタイプ)は、リソース管理や整理、そして組織やシステムの管理に長けています。また、場の主導権を握りたがるという野心家な側面を持ちます。
外向的思考はどんな働きをするのか?
- INFJはTJタイプを「なんか偉そう」と感じたり、彼らの支配的(とINFJには見える)態度に嫌気を募らせることがあります。この偏見はINFJ自身の態度に現れる場合があり、TJタイプへの皮肉や揶揄が増えたり、受動攻撃的な態度として表出することがあります。
- INFJは偶にわけもなく「悪意あるイタズラ」をしたくなります。例えば最も使用頻度の高いフライパンを滅多に開けない戸棚の中に隠したり、風呂場のシャンプーとリンスのボトルの場所を入れ替えたりといったものです。このイタズラにまんまと引っ掛かった人物が現れたとき、INFJはしめしめと感じます。これはTeへの反動によって起こる、非合理的でナンセンスな行動の一例です。
- INFJは、「靴下を左右違うものにした日、商談がうまく行ったことがあるから、ここぞという日は左右違う靴下を履くんだ!」といった、根拠のない非現実的なジンクスの一つや二つを持っているかもしれません。
- INFJが成熟した時には、苦手意識を抱いていたTJタイプの長所を認められるようになり、彼らと協力し合えるようになるでしょう。またTJタイプとの仲を深められれば、「高慢ちき」「支配的」といった彼らに対する誤解も薄らいでいくはずです。
“追い詰める悪魔”の機能: 内向的感覚(Si)
「追い詰める悪魔」は、影の心理機能の中で最も抑圧されているもので、INFJの場合これは「内向的感覚: Si」が相当します。
Siは過去の経験や思い出に焦点を当て、現在にそれを当てはめたり、現在と比較したりする機能です。昔を思い出して懐かしんだり、思い入れの強い物を大切にしたり、新しい手法よりも過去に成功した経験のあるやり方を優先したり、そして自分自身の体調に気を配ったりします。
このSiはINFJが最も恐れ、苦手意識を感じる存在であり、これを優勢機能に保有する人物と遭遇した時には強い孤独感を覚えたり、拒絶反応や軽蔑といった反応を返してしまう恐れもあります。基本的にこれはINFJにとって手に負えない存在であり、これが暴走を起こした際には、INFJ自身も、そして周囲の人々をも傷つけるおそれがあります。
内向的感覚はどんな働きをするのか?
- 強いストレスに襲われた際、SIが暴走を引き起こすことがあります。ひとたびSiの暴走が起こると、INFJは過去の失敗を掘り返して自分自身を過度に責め立てるようになります。
- INFJにとってSiは基本的に「無視される存在」なので、彼らは自分の体調面を気に掛けることがありません。自分自身のケアが、最優先事項になることは滅多にないのです。
- Siが優勢なタイプが好む「毎日同じことが繰り返される日常」「ルーティーン」を、INFJは「自分自身を緩やかに殺すために存在する罠」と考えていて、そのようなライフスタイルを好むことはないでしょう。
- INFJは「従来のやり方にこだわりを持ち、変えようとしない人」もしくは「役に立たない慣習や伝統を信奉する人々」を軽蔑する傾向にあります。
- その一方でSiは、INFJが見落としていた(ないし、目を背けていた)体調不良や有益な経験を思い起こさせ、INFJを助けることがあります。
最後に
全ての心理機能は、それぞれ異なる方法で現れ、時として私たちを助け、時に私たちを追い詰めます。今回はINFJの心理機能について説明していきましたが、最後にどのパーソナリティにも共通する「各スタックの特徴」を掻い摘んでご紹介していきたいと思います。
優勢機能 | その人が持つ最も特徴的で「英雄的」な個性、「自然体」だと感じられるもの、自分自身のハンドル、最も信頼されている心理機能 |
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補助機能 | ハンドルを握る手、快適で安心感のある手法、補助的な心理機能 |
第三機能 | クリエイティブな側面を司る、愉快で楽しい存在、時に脆弱でアテにはできない心理機能 |
劣位機能 | 隠された野心家、手の届かない「痒い所」、他者に悪印象を与える際の一番の原因となるもの、興味はそそられるものの重要ではないように思える心理機能 |
「相反する役目」 | 集中力を削ぐ存在、誘惑的に思えるもの、目の敵にしたくなる相手、同族嫌悪の源 |
「否定的な親」 | 憧れと嘲り、批判的な存在、コントロールを試みようとしてくるもの、叱責のイメージ |
「トリックスター」 | 遊び心とイタズラ、不道徳さ、抜け駆けしようとする狡猾さ、世間ずれした時に現れる顔 |
「追い詰める悪魔」 | 弱体化を試みてくる存在、予期しない攻撃、恐れと恐怖を覚えるもの、破壊的な闇の象徴 |
また「影の心理機能」はネガティブな印象を持つことが多いかもしれませんが、時にそれらはポジティブさを伴って表出化し、私たちを助け、精神のバランスを保ってくれることを忘れないでください。
そして私たちは「影の心理機能」がなければ、ステレオタイプが更に膨らんだような、偏った人間になってしまいます。「影の心理機能」は私たちの主たる弱点であり、目をそむけたくなる存在ではありますが、弱点であるからこそ目を背けるべきではなく、適切に恐れ、適切に受け入れるべきでしょう。
また、何よりも重要なことは「自分の恐れているものを持つ相手に、自分の恐怖を投影して、スケープゴートにしたてようとしている」ことに気付けるかどうかです。このような状況は起こってほしくはないものですが、他者と関わっていく以上、いつかどこかで遭遇する事態ではあります。このような状況を自分が作ってしまった時に、そんな自分自身に気付き、相手を思いやれるかどうか。これはとても大切で、そして難しいことでもあります。
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