MBTI

ISTJについて知識を深めよう

「規律こそ軍隊の魂だ。それは少数を強力なものにし、弱き者に成功を与え、皆に敬意を抱かせる」
――アメリカ合衆国初代大統領 ジョージ・ワシントン

ISTJは誤解を受けやすいパーソナリティの1つです。ISTJというパーソナリティは、周囲の人々にも、そしてISTJ自身にも「なんて退屈な性格なんだ……」という絶望を振りまいています。自嘲を込めて「自分は退屈な人間だ」とあえて言うISTJも、中にはいることでしょう。

たしかに、ISTJには冗談が通じにくいでしょう。笑いのツボもちょっと変わっているので、普段はあまり笑わないかもしれません。それにISTJというパーソナリティの紹介文はどれも「誠実で真面目」という点ばかりが強調されて、やや面白みに欠けるという印象を与えているのかもしれません。

しかし……――本当にISTJは「退屈な」パーソナリティなのでしょうか?

ステレオタイプなISTJのイメージに縛られていては見つけられない、本当の「ISTJ」について、今回は書いていきたいと思います。

ISTJの優勢機能「内向的感覚」

内向的感覚(Si)は、ISTJが最も依存する心理機能です。この内向的感覚とは「知覚を通して得た情報に、印象を紐づける」という役目があります。

この内向的感覚を優勢機能として保有するISTJは、「目で見て、触れて存在を確かめられる」ような事実を重んじます。検証可能であること、もしくは科学的に証明されているものを重要視しますし、「過去に自分がやったことがある方法」を採用する傾向があります。そのため、直感に従ったり、可能性に左右されるような行動を好みません。

印象による記憶のラベリング:

事実を重んじ、経験を重んじるというのは、内向的感覚において最も知られている特徴ですが。内向的感覚にはその他にも特徴があります。それが、先ほども挙げた「印象と紐づける」というものです。

内向的感覚は、知覚から得た情報「暖かい/冷たい」「柔らかい/固い」「うるさい/静か」「甘い/苦い」「眩しい/暗い」といったものに、「安心感を覚える」や「緊張する」、「嬉しい」、「孤独を感じる」といった印象を与えます。そして印象と情報を紐づけることにより、その“記憶”にラベリングをし、詳細かつ鮮明に覚えておくことができるのです。

この“細部まで正確に記憶できる”というのが、ISTJの強みでもあります。

またISTJは、詳細に記憶しているデータと、現在目の前にあるものを比較しながら、変化してる点を見つけたりすることが得意です。そして「どういった周期で、この変化が起こっているのか」というパターンを見つけることも得意としています。

そしてこの「変化の周期に気づきやすい」という特徴から、ISTJはしばしば内向的直感が優勢なタイプ(INTJ, INFJ)、特にINTJと自認を誤ることが起こります。これはISTJが「内向的感覚」によって得た情報を、「内向的直感」と似たような手法で処理をすることに起因しています。

ISTJの処理プロセスのそれは、厳密には内向的直感とは異なるものではありますが、パーソナリティ判別テスト、特に簡易的なテストにおいては、その点を判別することは困難を極めます。そのため誤った答えが出ることが多いのです(ISTJとINTJの判別は、思考方法や情報の処理手段ではなく、日ごろの振る舞いにおいて付けることができます)。

ISTJ流の「察する」方法:

そんなISTJは、他者の感情変化を「内向的感覚」によって理解します。「なんとなくそう感じる」のではなく、「表情や動作といったボディーランゲージを分析して、理解する」のです。

なのでISTJは「あの人は今、眉をひそめた。ジトッとした目つきに変わったし、腕を組んでいる」という風に情報を集め、「ということは今、あの人は不機嫌なのだ」と結論を出すことにより、相手の気分を理解します。そして理解した感情に、迅速に対応しようとします。

たとえばISTJが発した不適切な言葉により、相手がムッとした表情を浮かべたとき。ISTJは「今、自分は失言をしたのかもしれない」と申し訳ない気分になり、慌てて相手に謝罪したりするでしょう。

もしくは、ISTJが良かれと思っておこなった善意を無下にされた時に、これといって相手の機嫌を損ねた要素が思い当たらず、自分には非が無いとしか結論付けられない場合には、辱められたとして恥ずかしさと共に怒りを感じるでしょう。

……そんなISTJは感情を分析によって理解するため、人付き合いに疲弊しがちです。ISTJが単独行動を好む理由のひとつに、感情分析のわずらわしさというものがあります。

過去を忘れず、現在を記憶し、未来を予測する:

内向的感覚は、過去 – 現在 – 未来をカバーする「タイムライン」を構築します。過去に経験した記録を残し、現在を記録し、引き続き未来も記録していきます。

Twitterのタイムラインを想像してください。新しい投稿は上に逐次追加され、古い投稿は下へ下へと流れて行き、保管されます。内向的感覚はこのように記録をし続ける機能であり、記録を速やかに遡れる機能でもあるのです。

そんな内向的感覚の働きに関する、例を次に示します。

冬の寒空の下で、凧揚げを楽しんでいる幼い子供を見かけたとします。ISTJはこの時「楽しそうに遊んでるなぁー」といった感想を抱くと同時に、自分の子供時代を思い返すでしょう。今、遊んでいる子供と自分が同じぐらいの年齢だった時を思い出し、その頃に同じような遊びをしていた瞬間を思い返すでしょう。

試行錯誤を繰り返しても、なかなか思うように凧が上がらない苛立ち。風が吹いて、ふわりと凧が舞った時の喜び。そして冷たい風が髪を乱していく感覚。強い風に凧が煽られ、操作に手間取って……風が止んで凧がむなしく落ちた光景。もしくは電線にぶつかるか、風に凧を持っていかれた瞬間の悲しさ。

――このように過去と現在が交錯して、どこかセンチメンタルな気分がやってくるのが、内向的感覚なのです。もしかすると、人によっては「そう遠くない将来に自分の子供が生まれたときには、同じような経験をさせたいな」と考えるかもしれません。これも内向的感覚の特徴です。

ISTJの補助機能「外向的思考」

補助機能である「外向的思考」は、いわばISTJをISTJたらしめているものです。外向的思考は、論理的および合理的な思考を成すものであり、秩序と統率を重んじ、効率化に焦点を合わせる心理機能です。

「外向的思考」は、ISTJが意思決定を下す際に、特に使用されます。この外向的思考によりISTJは客観的で公平、公正な視点を保つことができ、感情的な偏りのない決断を下せるようになるのです。ただしISTJは公正さを優先するため、最低限は設けるべきである特例への優遇や配慮を排除する傾向があり、合理性よりも社会道徳を重視する人々から不信を買うことがあるでしょう。

そしてISTJは、秩序だった組織の中に所属している状態が望ましいと考えています。外向的思考は、この「秩序だった組織」を構築する際にとても役に立ちます。というのも、この「外向的思考」は秩序の根幹である効率的なシステムや、規則、マニュアルやガイドラインを作成することに長けているからです。

とはいえ、外向的思考にはデメリットがあります。それは「早合点をしがちである」ということ。外向的思考とはかなり短気な性格であり、辛抱強く情報を集め、それぞれの選択肢をよく検討するということを苦手としています。なので迅速に決定をしようとするでしょう。

ISTJの第三機能「内向的感情」

ISTJは殆どの場合、第三機能「内向的感情」よりも補助機能である「外向的思考」を優先し、判断を下します。しかし内向的感情は、物事に整合性を与えることができ、使いこなせれば計画やチームに強力さをもたらすことができます。

内向的感情は「自分が何を感じ、どう思うか」を重視する機能であり、正直であることを尊びます。自分の信じるものを頑なに信じ、譲らないというのも、この内向的感情の特徴です。

ISTJの美点といえば「公正であり公平で、誰に対しても平等に接すること」ですが。これは外向的思考によるものと思われがちですが(勿論、これも一因ではありますが)、ISTJのこの姿勢は実のところ内向的感情によるものなのです。

またISTJは欺瞞を憎みますし、甘い誘いには引っ掛からないタイプですが、この特徴も内向的感情によるものです。そしてタイプコードに「N」を持つパーソナリティが掲げがちな、希望的観測に対して否定的な態度を取る傾向もまた、内向的感情によるものです。これは「楽な道は許されない!」「希望的観測を抱けば、足元をすくわれるに決まってる!」といったことを、ISTJが信じていることに由来しています。

しかし、内向的感情といえばISFPを思い浮かべる人も少なからずいるでしょう。そして疑問に思うはずです。「ISFPの持つ内向的感情と、ISTJの内向的感情はだいぶ毛色が違うように思えるが、本当に同じ心理機能なのか?」と。

たしかに、ISFPとISTJの内向的感情は別物のように思えますが、両者には共通している点があります。それは「特定の何かを頑なに信じて譲らない」ということ。ISFPは道徳的に正しいことを重視し、それを頑なに譲りません。そしてISTJはというと、正直さと平等さを重んじ、それについて一切の妥協をしないのです。

ISTJの劣位機能「外向的直感」

ISTJは劣位機能として「外向的直感(Ne)」を保有しています。この機能は滅多に使用されるものではなく、そのため成熟度は極めて低いものとされています。

そんな劣位機能の成熟度はたとえ成人に達していたとしても、3~4歳の子供並みのレベルにしかならないとされています(ただし劣位機能に負荷を掛けるような経験を積むことにより、成熟したものへ進化する可能性を秘めています)。

仮に成熟した場合、外向的直感はあらゆる懸念や可能性を、理論的にリストアップする能力をISTJに与えます。普通のISTJなら拒みたくなるような直感的な行動を受け入れられるようになり、絶え間ない変化への耐性を身に着け、革新的な価値観も受け入れられるようになるでしょう。また「今この場で、何ができるのか」と臨機応変に考えられるようになり、即興的にアクションを返すこともできるようになるでしょう。

ISTJにとって、安定性と一貫性はとても重要なものです。なので突然の変化や、複数の可能性が存在していてどれに転ぶのかが予測できないシーンは、苦手でしょう。しかしISTJが持つこの傾向は、劣位機能「外向的直感」を使いこなせるようになれば、それを克服できるようになるのです。

ただし、この外向的直感が十分に発達されてない時には、この能力はネガティブな方向に働きがちになります。悪い未来しか思い浮かべられなくなったり、あれこれ考えた末に「全てに」ニヒリズムに囚われたりするようになるでしょう。特に強いストレス下に置かれた時、ISTJはこの傾向が顕著になります。

とはいえ健康的なISTJは、知らず知らずのうちに外向的直感を使って、余暇を楽しんでいるかもしれません。例えば、近未来を描いたようなSF作品へ関心を抱かせるのは、外向的直感によるものですし。ジグソーパズルやクロスワード、数独をエンジョイできるのも、外向的直感によるものですから。

ABOUT ME
青木 常久
「今すぐ使える心理学」を立ち上げた張本人であり、過去に性格心理学の研究・恋愛心理学の研究を行なっている中で、誤った知識が世の中に蔓延していることに課題を感じ、学術レベルで心理学を学び、企業向けにコンサルティング業務を行なったり、カウンセリング業務を行なっています。 - 九州大学出身、「性格心理」や「芸術」について学ぶ。性格心理学を用いた製品開発やチームマネジメントの第一線で活動中、現在メディア事業部マネージャーとして性格心理学を実践しています。